オーストラリアにはTAFE(Technical And Further Education)と呼ばれる職業訓練プログラムがあります。各州政府が運営している公立の学校で専門職の基礎知識やそれに関係する法律、健康や安全対策、実技などを学べる場所です。
今回はこの職業訓練校についてお話しします。
TAFE
日本にも職業訓練校がありますが、オーストラリアのそれは受講者がかなり高い確率で就職している点です。
個人的な見解も含みますが、大きな点をいくつか挙げてみたいと思います。
- 資格のレベルがある
- 資格取得が必要となる仕事
- 無料とは限らない
日本の職業訓練校は印象として「失業者」が受講するもので、受講すると国から「支援金がもらえる」というものだったと思います。真剣に取り組む人とそうでない人はオーストラリアの職業訓練でもあると思いますが、オーストラリアのTAFEは就職過程のひとつとして機能しているため、日本にいた時に思っていた「職業訓練校」の印象とは大きく異なります。
また日本の「専門学校」の機能もあり、一般的に高校卒業後に「進学」「就職」と大きく進路が別れますが、「就職」前に技能を身に着けたい若者が通う学校でもあります。
資格のレベル
日本の職業訓練校と違う点として、資格のレベルがあります。日本の資格に「英検2級」や「簿記3級」がありますが、それに相当するものを「Certificate」と呼び、数字が大きいほど行動な技能を学習したことを意味します。多くのコースでこの資格を取得できるのがTAFEです。
また「Certificate」より高い資格として「Diploma」があります。
オンラインで仕事を応募する際に、保持している資格を入力する項目がありますが、そこでは「Certificate」「Diploma」「Bachelor」「Master」「Doctor」という順番で扱われています。
OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像
資格が必要な仕事
TAFEでは就職希望者だけではなく、すでに就職している人も学びに来ています。日本ではスキルアップのために就業時間外に勉強をする人がいますが、ここでは会社が資格を必要とするため、就業時間内であっても学校に通わせます。またスキルアップのため自分の意志で学校に通っても、TAFEが会社側に「学校に通わせる許可」を取り付ける書類を発行します。
無料とは限らない
コースによって履修時間が異なったり、資格のレベルや資格内容によって受講料が異なります。
受講を希望する生徒は、コースを受ける前に適正テスト(アンケートのようなもの)を受けるのですが、同じコースでもその結果に応じて受講料が異なります。例えば海外から学習を希望する生徒もいますが、この場合は満額支払い。一般的な当地の在住者は政府がいくらか補助をしてくれるので割引。無職で生活に困窮している方などは無料だったりします。
ブラックタウンの職業訓練校
ブラックタウンには大きな学校として二つあり、一つブラックタウン駅近くのTAFEブラックタウン校、もう一つはMt.DruittにあるTAFEマウント・ドゥルイット校です。他にもWestern Sydney大学のNirimbaキャンパスやMt.Druittキャンパスにあります。
Google Map - Street View / TAFE Blacktown
資格を取得しても、その資格を使える仕事につけないことは日本と同様だと思いますが、「資格を取得した行為」は他の業種だとしても評価してもらえますし、専門学習以外にもWHSと言われる労働下での健康と安全についての学習や関連する法律も学ぶことができ、他の業種であっても基礎的な知識はあると認識してもらえます。オーストラリアでの学習履歴がなかったので、私も2種類の資格をここで学びました。
またここで知り合った仲間と就職に関する情報を交換したり、その後の交友に発展することもあるので刺激の多い場所だと思います。
現在、NSW州ではコロナウィルスによる大規模な規制のために仕事を失った人たちが多く出たこと、また人材不足の産業が多くあることを踏まえ、無料で講習を受けられる機会を多く作っています。個人的には趣味目的になりますが、プログラミングを学習したいと考えていますが、果たして無料になるかどうか。
このような学校があることを知っていただけたらと思います。