11/28/2021

ブラックタウンのサバーブ Marsden Park

この数年、ブラックタウン市内で最も開発が盛んなサバーブを紹介します。

 マースデンパーク Marsdenpark 

以前は広大な牧草地が広がるエリアだったリッチモンドロード沿いにあるマースデンパークについて調べていきたいとおもいます。

Google Map - Marsden Park


概要

2016年時の国勢調査では、このサバーブの人口はなんと1008人だったそうです。

冒頭にも書きましたが、5年前のマースデンパークは広大な牧草地が広がる場所で、まだ片道1車線だったリッチモンドロードの両脇には北海道を思わせるような馬や牛が放牧されている風景が広がっていました。(下の画像はまだ残る牧草地のエリア)

Marsden Park - Richmond

そして2021年。

まだ2021年に実施した国勢調査の結果が上がっていないため実際の数字はわかりませんが、idcommunity.comのデータによると1万人と予想されています。5年で10倍の人口増ということです。

この5年でなにがあったのでしょうか?

NSW州政府の開発計画のひとつにNorth West Growth というものがあり、Marsdenparkは将来的に6万人のサバーブになるように計画されています。そしてその計画には住宅と産業施設が盛り込まれ、新しい雇用機会のほか、人口増による学校や道路、交通機関のアップグレードが2013年にはすでに計画されていました。

そして現在、まだ計画途中ですが、新しい住宅はもちろん、複数車線の道路、大型商業施設、製造工場の建設など確実にそれまでの風景とは違うものになっています。

商業施設の中には日本でもなじみのあるCOSTCO、IKEA、またアシックスのアウトレットショップもあります。


歴史

古くからあるサバーブのほとんどはヨーロッパ人の入植以降に「その土地の所有者」に関係して「地名」として残っています。

マースデンパークもそれと同様で1815年にイギリス国教会(アングリカン・チャーチ)のSamuel Marsden司祭が1000エーカー(4000平方キロメートル)の広大な土地を与えられたことで現在の土地の名前となっています。

このエリアに限りませんが、イギリスからの入植者が多かったため、古い時期に建てられた教会の多くはイギリス国教会(アングリカン)のもので、マースデンパークも含め、この周辺エリアには今でも残るイギリス国教会の建物があります。

現在はマースデンパークの一部となっていますが、Marsden司祭が土地を所有した時期、近隣にWalter Langの土地がありました。Walter Langはインド貿易で財を成した実業家で1813年に700エーカーの土地を与えられ、「Clydesdale」と名付けています。

この地名の由来はよくわかりませんが、スコットランド産の馬にClydesdaleという品種がいたり、Langという姓がスコットランドに多いことから、おそらく彼の故郷に関係したものだと思います。

その後、Walter Langは1814年にイギリスに帰国し1815年に亡くなっており、この土地は彼の死後、1819年にCharles Tompsonに売却されています。このChales Tompsonは二冊の本を盗んだ罪で1804年オーストラリアに囚人として送られましたが、その後、Clydesdaleを購入し、さらに隣接する農場も購入するほどになりました。このClydesdaleにあった建物は現在NSW州の遺産となっています。

Clydesdale - Blacktown Council

そして時代は現代となり、2020年、Marsdenparkの都市開発によりサバーブの管理を円滑にするために「Melonba」「Angus」という二つのサバーブがマースデンパークから分割されてできました。

マースデンパークの都市計画はまだ途中です。これからさらに新しい街づくりが行われ、さらに便利に近未来的な町ができる楽しみはありますが、まだ残る牧草地を見るとこの風景を残して欲しいなとも思います。

引用欄: