今回はブラックタウン市を走るもうひとつの高速道路M7をご紹介します。
M7モーターウェイ Motorway
M7モーターウェイ(高速道路)はウェストリンク(Wesklink)と呼ばれるシドニー西部を南北に走る高速道路で、M2高速道路、M4高速道路、M5高速道路と合流しています。近い将来には西シドニー空港のために作られるM12高速道路にも接続する予定です。
By Bren Barnes - , CC BY-SA 3.0, Link
概要
M7ウェストリンク高速道路の北端はM2高速道路と、南端はM31ヒューム・ハイウェイに接続している全長41kmの道路で、そのままM2高速道路に直接接続するためにブラックタウン市内で東に大きく曲がります。
この接続によりM7、M2、M1、M5によるシドニー圏環状道路が構成され、現在工事中ですが以前紹介したM4高速道路が中央を抜けることでシドニー大都市圏の移動がより快適になります。
例えば、もし一般道でBaukhamHillsーPrestons間を移動した場合、最大48か所の信号がありますが、M7モーターウェイを利用することでこれが解消されます。
シドニー西部においてM7高速道路の経済的効果は大きく、現在、シドニー西部はシドニーCBD、メルボルンに次ぐ国内3番目のGDPを生産する主要地域となっています。シドニー西部には物流倉庫や製造工場が多いですが、これもM7高速道路で輸送ができるおかげです。
さらに西シドニー空港ができることでシドニー西部の空輸の物流も大きくなります。これを解消するために前述したM12高速道路が建設され、M7に接続をします。
歴史
ウェストリンクM7高速道路は2005年12月に開通したシドニーの高速道路で2021年12月で完成から16年経過したことになります。
M7はシドニー圏の他の主要高速道路とは異なり、あまり重要と見られておらず、また計画でさえそれほど古いものではありませんでした。
1951年には現在のM2、M4、M5高速道路の建設がすでに計画されていましたが、これらを結ぶ高速道路(現在のM7)の予定はありませんでした。
1960年代にM2とM4を結ぶ計画がなされましたが、当時はまだシドニー西部の需要が大きくなかったため、政府の優先案件とはならなかったようです。
1980年代後半にブラックタウン市のルーティーヒルに製鉄所が建設することになり、ブラックタウン市議会がこの施設を迂回する幹線道路の建設を政府に要望したことで、M7高速道路の建設の始まりとなりました。ただ、Phillip Parkwayと呼ばれた製鉄所を迂回する道はわずか2kmしかありませんでした。
Google Streetview - M7 Rootyhill area
1987年に作成されたRoads2000プロジェクトにより、M2、M4、M5を結ぶ道路の建設が計画されています。当時、すでにCumberland Highway(A28)がシドニー東部を南北につなぐPaccific Highwayとシドニー南部からメルボルンに繋がるHume Highwayをつなぐ道路としてできていて、この道路の拡張もしくはこの道路同様に地上の道路として建設が話し合われていました。
しかし1990年代にはいり、より多くの議論がされていく中で現在のように立体道路(高架)として建設することが決まり、2001年に予算が割り当てられ本格的に建設されることになります。
すでに完成から16年経過していますがいまだに「新しさ」を感じる道路です。利用料は現時点であと28年ほど(2048年まで)発生しますが、シドニー西部の成長とともにM7も再整備されることになり、この利用料も延長されると思います。
とはいえ快適な道路環境は必要ですし、「高速」で走れなければ意味がないので今後のM7ウェストリンクの成長を見ていきたいと思います。
引用欄:
- Wikipedia - M7 Motorway
- Westlink M7 HP
- Road Australia - M7
- Link.com.au - WestLink M7
- NSW Transport - M7 project