10/21/2021

ブラックタウンに続く道

今回はブラックタウン市の北部を通り、Hills Shireとの境界線となるWindsor Roadをご紹介します。

 ウィンザーロード 

まずこの道について話す前に、実はウィンザーロードは二つあります。
「Old Windsor Road」と「Windsor Road」です。



この道の歴史

その名前の通りシドニー北西部の「Windsor」に向かう道で、当初は馬や徒歩で往来する程度の道だったそうです。

1794年にWindsorでの農地開拓がはじまり、Windsorに政府関係の施設ができるに連れ、物資を運ぶ道として整備されていきます。荷物はシドニー中心部からParramatta Riverを使って船でParramattaへ運ばれ、そこから陸路でWindsorに向かっていました。

1797年にGovernor Hunterの命で6m幅の道に整備されていきます。

ここから話がややこしくなります。前述した「OLD」ですが、その名の通り、初期のウィンザーロードのルートが現在の「Old Windsor Road」です。

1810年ごろから、Parramatta北西部に新しい「5つの町」が作られていきます。そのひとつがWindsorです。またParramattaに政府庁舎が建てられたこと(以降1846年までParramattaはNSW州の首都でした。)も関連し、Parramatta-KellyVille間のルートが見直されました。これが現在の「Windsor Road」で、Seven Hillsを経由していたそれ以前の道が「Old Windsor Road」となりました。

この新しい「Windsor Road」は幅がおよそ10mあり1812年に完成しています。



現在のWindsor Road

現在、「Old Windsor Road」と「Windsor Road」を比べると「Old Windsor Road」のほうが主線ではないかという印象を受けます。それはあまりコーナーがなく比較的直線的な道であり、高速道路にも接続しているからです。

ここにもう一つの歴史がありました。

1997年にシドニー北部を東西に繋ぐM2高速道路が完成しました。これによりM2の終点となるSeven Hillsに乗り入れする車両が増えていきましたが、近隣のOld Windsor RoadやSunnyholt Roadは片側1車線ずつの田舎道。渋滞や道路の状態も含めて悪い交通状況を作ります。

そのため2000年に入りOld Windsor Roadの再建が始まり、M2高速道路の乗り入れだけでなく、その後にできたM7高速道路にも接続、より直線となるようにルートを調整し現在の「Old Windsor Road」が形成されました。

現在ではどちらの道も片側複車線であり、とてもきれいな道になっています。

 




ブラックタウンとの繋がり

Old Windsor Roadが市境となり、北部のHills ShireとBlacktown Cityを分けています。Old Windsor Roadに接するブラックタウンのサバーブはSeven Hills / Glenwood / Stanhope Gardens / KellyVille Ridge / Rouse hill / Grantham Farm / Vineyardの7エリアにもなります。

Old Windsor RoadにはシドニーCBD・マッコリー大学方面へ向かう高速バスがあるため、これらのサバーブに住む人はブラックタウン駅を利用せずに高速バスを利用しています。またRouse Shopping Centreも沿線にあるため、ブラックタウン北部に住む人にとってOld Windsor Roadは通勤・通学そして買い物など重要な生活幹線道路です。


私も日常的に使う道路のひとつですが、今回調べてみて不思議に思っていたことがわかり、とても良かったです。もしかしたら、わかりづらいために将来、名称が変わることになるかもしれませんが、このような歴史があったことを覚えておきたいと思います。

引用文献: